値札人間
あたしは気を取り直し、イツミへ笑顔を向けた。


「ボランティアなんてすごいじゃん! 社会貢献してるって感じ!」


「え、そう? えへへ~そう言われると嬉しい!」


「あたし、もっとイツミのこと知りたいかも」


「本当? あたしも同じだよぉ!」


本当は普段のイツミの態度にムカついているけれど、ここは調子を合せておいた方がよさそうだ。


だって、自分の周りにいる人たちは少しでも数値が高い方がいい。


そっちの方が絶対に自分にとっても有利になる。


「そういえばイツミっていつもヤヨイの課題見てるよね? あたしも見せてほしいんだけど」


「あぁ、あの子のノートわかりやすくていい感じだよぉ?」


イツミは機嫌よく答える。


学級委員長であるヤヨイの数値はクラスでも1位2位を争っている。


絶対に仲良くなっておきたい相手だった。
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