値札人間
アマネの額には9645という数字が書かれているのだ。


マジックで書いたように、太い文字で。


「なに? なんのこと?」


「ちょっと、こっちにおいで」


あたしはアマネの手を握り締めて近くの女子トイレへと急いだ。


きっとクラスの誰かがいたずらしたのだろう。


「学校に来てすぐ昼寝でもしたの? いたずらされてるよ?」


そう言いながら鏡の前に立つ。


「昼寝なんてしてないよ?」


アマネは眉を寄せ、鏡に映る自分の顔を確認した。


「なに? なにもないじゃん」


「そんなワケないでしょ? ほら、おでこに数字が……」
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