値札人間
「アンリ、センスいいよ! バレー部に入ればいいのに!」


本気でバレーをしているアキホから、そんなことを言われるくらいだ。


あたしは自分の数値を確認することはできないけれど、きっと急上昇していることだろう。


だって、成績も良くなっているしスポーツもできるようになっているもの。


これで数値が下がるようなことなんてないはずだ。


一歩、アマネの数値は相変わらず低いままだった。


クラス全員が1万を超えている中、アマネはただ1人9千代から上がることができずにいる。


今だって、敵チームの足をひっぱり数値はどんどん落ちて行っている状態だ。


そんなアマネを見てあたしは大きなため息を吐きだした。


アマネ以外にもあたしと仲良くしてくれる子はたくさんいる。


なにも、数値の低いアマネと一緒にいる必要はない。


アマネには申し訳ないけれど、このまま離れていくつもりでいた。


「アンリ、次は点数係だよ、一緒に行こう」


アキホに声をかけられ、あたしは「うん」と、頷いたのだった。
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