値札人間
「アマネはずっとアンリに甘えてたんだよ? わかるでしょう?」


そう言われてあたしは首をかしげた。


「そう……かな……?」


本当は違うとわかっていた。


第三者から見てアマネはあたしの後ろについて回っているように見えても、アマネは何度もあたしを助けてくれたことがある。


ゴウに昼ご飯に誘われたときだってそうだ。


どうにかイツミを引き離そうとしてくれた。


でも、日ごろトロ臭いアマネを見ているみんなは、そうは思わないのだ。


「無視するのも愛情だと思うよ?」


アキホの言葉にあたしはそのまま椅子に戻ってしまった。


視界の端でアマネの姿が見えているのに。


アマネはうつむき、今にも泣いてしまいそうな顔しているのに。


あたしはそれを無視して、アキホとの会話に戻っていったのだった。
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