値札人間
そこまで言ってあたしは口を閉じた。


鏡に映ったアマネの額には数字なんて書かれていなかったのだ。


あたしは目を丸くして鏡の中のアマネを見つめる。


その後肉眼でアマネの額を確認すると、そこにはやはり9645の数字が見える。


「ちょっとアンリどうしたの?」


アマネはあたしがおかしくなったと思っているようで、心配そうな表情をこちらへ向ける。


本当に、あたしがおかしいのかな?


目をこすってみても、何度瞬きをしてみても、その現象は消えなかった。


肉眼で見ると数字が見える。


しかし、鏡を通すと何も見えない。
< 8 / 226 >

この作品をシェア

pagetop