オレンジソーダ
父「ただいま」
「おかえりなさい」
父「あれ、由紀子はどこに行きました?」
ば「忠志さん、落ち着いて聞いてくださいな」
父「はい」
ば「本当にすみません。うちの娘が…」
父「由紀子がなにかしたんですか」
ば「浮気をしていたんです、由紀子が」
父「どういうことだ証拠はどこだ」
ば「凛香が学校の帰り道に目撃なさってですね、一緒に帰っていた向日葵という女の子に写真を撮ってもらったんだそうです。向さんはもう帰りましたけどね。でもその写真をプリントアウトしときました。こちらです」

おばあちゃんはお父さんにプリントアウトされた例の写真を渡す。

ば「いつもより化粧が濃いですが、私が娘を見間違えるはずがありません。これは由紀子です」
父「な、な、ななんで…」

お父さんは口をパクパクさせている。

ば「私たちは由紀子を追い出しました。反省したら戻ってきなさいと言って。なので暫くはピアノ教室、塾のお迎えは私がしますので、忠志さんはいつも通り仕事をなさっていてください」
父「そ、そうか…凛香は、それで大丈夫なのか」
凛「はい、私は…お父さん!おじいちゃん!おばあちゃん!」
ば「どうしたんだい」
凛「私、医者になりたくない!」
父「何を言っているんだ」
じ「今はその話をしていないだろう」
凛「もう嫌なの、耐えられないの。
勉強だって本当はしたくない、友達だって限られた人しか友達になっちゃいけないなんてつまんない、恋愛だって私の好きなようにさせてよ!」
父「凛香…落ち着きなさい」
凛「ピアニストになってちゃんと生活が安定している人はごくわずかだってこと、分かってる!でも、私はピアニストになりたい!」

何を急に私は言い出すんだ。

でも、言い出したら止まらなくて。

凛「ねえもうやめて、私が成人したら会うっていう男性ともう会いたくない!」
父「凛香…」

ああもう終わったな。

これから今までにないくらい3人に怒られるんだろうな。

じ「凛香、自分で物事を言い出すなんて立派な子になったなあ」



凛「え?」
じ「これはわし1人の意見だが、別に凛香はピアニストになったらいいだろう。だが!」

急におじいちゃんが大声を出すのでビクッとする。

じ「1度決めたことは最後までやり遂げることだ、わかったな?」
凛「は、はい!」
じ「それとだ。友達は限られた人しか友達になれないとはどういうことだ?
わしは東京大学に行くこと、成人したら学歴の高い男性と会わせることしか認めていない。
友達は不良以外なら誰でもいいと言ったはずだが」
ば「由紀子が言い出したのよ」
じ「全くあの娘は…」
ば「凛香、今おじいちゃんが言ったことは、絶対に守るのよ」
凛「はい!」
父「でも娘の将来が心配だ。
東京大学に行くかどうかは別として、他の職に就いた方が生活が安定するのではないか」
じ「可愛い子には旅をさせよと言うじゃろう」
父「…そうか。」
凛「…ほんとに、いいんですか?」
父「自分のやりたいことをやりなさい、欲しいものがあったらお父さんがなんでも買ってあげるから」
凛「ありがとう!」


こうして過ごした2年間。

いつの間にか卒業まじかになっていた。

無事東京音楽大学に合格した。

高校二年生の時にスマホを買ってもらった。

それから乾さんとの距離はぐんぐん縮まっていった。

乾さんとLINEも交換した。

1度、乾さんに告白した。

湊「ありがとう、これからも友達としてよろしく」

そう言われた時、悲しくて切ないけど、乾さんの優しさを感じて、目がうるっとしてしまった。

卒業式の帰り、日葵と別れたぐらいの事だった。

No side

凛香が横断歩道を渡っていると、横からトラックが突っ込んできた。

ドーン!

キャー!



数年後___

日「あ!今日お墓参りに行かなきゃ!」
湊「そっか」
日「もうあれから何年経ったっけ」
湊「3年前ぐらい?」
日「そっかぁ。なんか、湊のこと好きだったんだよね?」
湊「あー1回告白されたことあるな」
日「あれから両親に自分のやりたいことを言って夢に向かって全力で進んでたんだけどねえ」
湊「そうなんだ」
日「なんかね、オレンジソーダ好きなんだって」
湊「へえ」
日「だから今日オレンジソーダ持ってきたの」
湊「俺花束しか持ってってないや」
日「凛香は湊がお墓参りに来てくれるだけで嬉しいよぉ」
湊「なにそれぇ」

2人は笑いあった。

上に青と太陽を乗せて。
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