煙の中の彼


そもそもなんでこんなややこしい関係になったんだっけ?


ーーーー2年前

高校卒業して大学に行く事になり、
「もう聖ともお別れか。」
と思っていたのに就職してたまたま帰り道草してた時にBAR After the Rainに入った。

初めてのBARで緊張しながらもゆっくり噛み締めるように初めて一人でアルコールを飲んだ日だ。

その日は緊張してた事も相まっていつもより酔っ払ってた気がする。

私の背後で軽い鈴の音がしたと思ったら聞きなれた声がした。

まさかね、と思いながら視線を動かすと聖が居た。

高校の時より凛々しく色気もあり、スーツが良く似合う大人の男になった聖が。


なんの幻か、はたまたそんなに酔ったのかとパニックになりながらおもわず彼を凝視してると
彼の視線が私と合わさった。

「……ん?もしかして向崎?」

まさか、まさかそんな、こんな事ある?!

聖だ。本物だ。どうしよう。
「あ、うん。向崎 葵。
久しぶりだね。」
冷静を装いなんとか微笑みながら返事をした。

大学でやっと気持ちを封印したと思ってたのに。

嘘でしょ。

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