煙の中の彼
決意
ジンライム
世間で言う華金。
私はヒールでパンパンになった足を自宅に向けて1歩1歩懸命に動かし歩いていた。
夜22時
周りが既婚者ばかりになるとこの時間が飲み会のお開きの時間になった。
前は朝まで飲み歩いていたのに、私は1人で行きつけのBARから出たとこだ。
「なにやってんだろ。」
ぽつりと、寂しげな声がおもわずもれた。
♪〜♪〜♪〜
ジャケットのポケットで懐かしいメロディが小さく響く。
この曲を私は何年聞くんだろ、
そんな事を思いながら携帯をみると
『三島 聖(ミシマ ヒジリ)』
液晶に表示された名前は私が焦がれる人の名前だった。
「もしもし、なに?」
要件なんて分かりきっているのに期待して問いかける。
憐れな女。
「もしもし、俺。
いつものとこ。きて。」
「今出たとこなんだけど。」
「しらね。ーーーーpi」
きられた。
いつものとこなんて言葉に少し月日を感じて浮かれた私を叱咤しながらついさっき出たBARに急ぎ足で戻る。
彼の後ろ姿を思い浮かべながら。