煙の中の彼
「明日仕事?」
「いや、俺も流石に休み。」
「そっか。
繁忙期超えたんだっけ?」
「おう。しばらく暇だな。」
「そっかー、あとは冬の決算だね」
「だな。」
「今日は何飲んでんの?」
「ウィスキーフロート」
「ふーん」
たわいも無い会話を名残惜しく感じるのは、私の小さな決意のせいだろう。
タバコが火をつけて燃えたあと、灰皿に捨てられるように私も聖にとって換えのきく存在だと最初から気付いていたのに、見ないふりを続けた罰がこの胸の鈍い痛みなんだろうな。