不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「……相手と、なんかあったとか?」
「うん……まぁ、いろいろと。そのうち、話すよ」
今は、事の詳細を話す気力がない。
全てが落ち着いたら、三人にはきちんと話そうと思う。
修哉は私の様子で何かを察したのか、「そっか……」とだけ言った。
さすが、昔馴染みの友達だ。
「まぁ、でもさ……なんでもそうだけど、自分には素直に生きたほうがいいと思う」
自分には素直に、か……。
簡単なことのようで、それは実は難しいことなのかもしれない。
「うん……だね」
「ほら、だから顔が引きつってるから。無理して笑うな」
鋭いツッコみにへへっと笑う。
仕方なさそうに苦笑を浮かべた修哉を目にして、改めてこういう風に言ってくれる友達の存在はありがたいなと感じていた。
「あれ、今日そっち?」
「あー、うん。実家にね」
「そっか。じゃ、またな」
「うん、またね」
昨日から、実家に帰って過ごしている。今日もこれから実家に帰宅する予定だ。
改札を入っていくと、片手に持つスマートフォンが震える。
画面には千晶さんの名前が表示されていて、思わず歩みが止まってしまった。