不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
たっぷり時間をかけて、千晶さんは私の初めてをもらってくれた。
恥ずかしいだとか、ちゃんとできるだろうかとか、そういう類の心配はいつの間にかとろとろにされて考える隙もなくなっていた。
甘い囁きと、優しく触れる指先。
鍛え上げられた体に抱き締められるのは全身の熱が上がりくらくらした。
壊れ物を扱うように大切に、時に情熱的に、千晶さんは私を一晩中腕の中に抱いてくれた。
コーヒーのいい香りにつられて上体を起こすと、千晶さんが自分の向こう側から何かを手にする。
目の前に現れたのは、大きな白いプレートに載った綺麗に切られたフルーツだった。
メロンにブドウ、モモやマンゴーまである。
「食べるか?」
「え、すごい……はい、食べたいです!」
千晶さんはフォークを手に取ると、「どれにする?」と私を見る。
どれも美味しそうで悩んでいると、横から不意打ちで頬に口付けられた。
「ごめん、可愛くて」
ナチュラルにそんなことを言ってキスなんてするから、寝起きの頭が一気に覚める。
千晶さんは皮が綺麗に剥かれた大きなブドウをフォークで刺し、私の口に持ってきてくれた。