不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


「会えばよく遊んでくれとせがまれた。その頃から、つぐみが可愛くて仕方なかった」

「でも、その頃の千晶さんから見たら、五歳の私なんて子ども以下というか……」

「ああ、下手したらいろんな意味で犯罪だからな」


 冗談ぽい口調で千晶さんはそんなことを言い、クスッと笑う。


「会社に入ると、なかなかつぐみに会う時間も取れなくなった。だけどその分、早く迎えにいけるようにと思って日々過ごしてきた」


 千晶さんはひと息つくようにカップに口をつける。

 綺麗な横顔をじっと見つめて、話の続きを黙って待った。


「でも……つぐみの成人式の写真を見て、ハッとしたんだ。まだ若いお前を、俺が縛り付けていいものかと。歳を重ねるごとに、そんな疑問も感じるようになってきたんだ」

「だから……あんなこと、言ったんですか?」

「本意ではない、と?」


 小さく頷くと、千晶さんは私の頬に手を伸ばした。

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