不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「私との話を拒否してまで、どうしてそんな子にこだわるの? おかしいじゃない! 私のほうが千晶のこと――」
「俺が生涯添い遂げたいと思うのはつぐみだけだ。その大切な相手を傷付ける奴は、誰だって許さない。お前がつぐみに良からぬ入れ知恵したことなんて、すべてお見通しだ」
桜庭さんに向ける冷ややかな目を見ながらも、千晶さんの口から出てきた言葉にこんな時でもきゅんとしてしまう。
桜庭さんが会社に来たことも、千晶さんは知っていたのだ。
「話はそれだけか? それなら今すぐお引き取り願おう」
そう言った千晶さんがいきなり私を畳へ押し倒す。
驚いて「わっ!」と変な声が飛び出した。
「な、何してるのよ!?」
私を組み敷いた千晶さんを見て、桜庭さんが動揺した様子で声を荒げる。
そんな桜庭さんを気にもせず、千晶さんは私の顔を覗き込み優しく髪を撫でた。
「何って、見ての通りだ。これから彼女を可愛がるから、部外者は出ていってもらおう」
「なっ……!」
とどめを刺されたように、桜庭さんは顔を一気に赤くして茶室を飛び出していく。
一気に静かになった部屋で、千晶さんはクスッと笑みをこぼした。