不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
気持ちの見えない人
「篤志、そのお肉取ってー」
横からクレソンの載った取り分け皿が差し出される。
そこに分厚いステーキの切り身が三切れ載せられると、隣の席に回収されていく。
「つぐみは? 取るか?」
「あ、うん。ありがとう」
週末土曜日の夕方、午後六時。
月に一度ほどのペースで集まっている高校時代の友人三人と、今日は恒例の飲み会の日。
今日の集合場所は、誰かがいろんな肉が食べたいと言い出して、以前利用して好評だった肉バルに決定した。
「つぐみ、グラス空いてるじゃん」
私の横に座る凛香がワインのボトルを手に、私のグラスに白ワインを注いでくれる。
「ありがとう」
「でも、あんまり飲ませないほうがいいかな~?」
高校一年のクラスで同じクラスになり、席が前後だった縁で知り合った凛香とは、大人になった今でも仲良くしている。
思い返せば高校時代という私の青春時代の思い出にはいつでも凛香がそばにいたくらいだ。