不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 篤志から手渡された予定以上の量の肉の切れ身にじっと視線を注いでいると、斜め前から私の取り皿にフォークが伸びてくる。


「手伝う」


 顔を上げると、修哉(しゅうや)が私のお皿から肉を回収してくれた。


「ありがと……」

「これは載せすぎ」


 口元にだけ笑みを薄っすら浮かべて、修哉は私を見つめる。そしてそれ以上何も言わずに肉を食し始めた。

 高校時代から変わらないクールな修哉とは、高二の春に知り合った。

 元々、篤志と部活が一緒で、同じクラスになったのをきっかけに接点ができ、少しずつ話すようになった。

 同じサッカー部でも篤志とは真逆のタイプで、修哉は落ち着きがあり外見も含め大人びた印象が強かった。

 年上だと言われたら先輩だと疑わなかっただろうし、素直に信じたと今振り返っても思う。

 そういう感じだったため、当時も上の学年に彼女がいたり、女子大生と付き合っていることもあった。

 あまり突っ込んで訊けるタイプではないから、凛香や篤志が噂しているのを聞いて知ることばかりだったけど……。

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