不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「そうか。それなら、引っ越しの手配をするから都合のいい日時を改めて知らせておいてほしい」
「えっ……あ、はい」
とんとんと進む話につい驚きのリアクションが出てしまったけど、慌てて了承の返事を返す。
「実家暮らしと聞いているから、運ぶ荷物も少ないだろう。なんなら何も持ち込まなくても構わない」
「え、でも、服とか、日常使うものが……」
「そういうものも全て買い揃えてしまえば問題ないだろう。どうしても気に入っているものだけでも十分だと思うが」
あっさりと買い揃えてしまえばいいなんて言われてしまい、言葉に詰まる。
私が黙ると、桜坂社長は小首を傾げ「必要なら同行するが」と言う。
「え、でも……」
「スケジュール調整をして時間を作ろう」
はっきりしないからか、私からの回答を待たずに話をまとめてしまった。
「すみません、ありがとうございます……」
「……今日は『すみません』ばかりだな」
「えっ……」