不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「そうか。今日も実家のほうに帰っていると思ってたから」
「え……? もしかして、返信届いてませんでしたか?」
まさかという思いで慌ててキッチンに舞い戻る。
カウンターに置きっぱなしにしておいたスマートフォンを手に取り、メッセージアプリを開く。
見てみると、千晶さんのメッセージを既読にした後、返信のメッセージを打ち終えたところの画面で止まっていて、送信が完了していない。
「あぁっ……送れてなかったんだ……」
まさかのミスに独り言を呟くと、あとから入ってきた千晶さんがフッと笑う。
「すみません、送った気で送れてなかったようで……」
「別に謝るようなことじゃない。気にするな」
慌てる私に対して、千晶さんはさほど気にしていない様子。そのまま踵を返してリビングを出ていく。
あとを追いかけると自室へと入っていってしまい、その前で「あの!」と声をかけた。
「食事は、されますか?」
「ああ、ありがとう。いただくよ」
「わかりました。では、用意しておきますね」
食事をするという返事にホッとしながら、急いでキッチンに舞い戻った。