不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 用意したメニューを皿に盛りつけて、ダイニングテーブルに対面する形でふたり分セッティングしていく。

 並べながら、やっぱり庶民的なメニューだなと今更すぎる後悔が沸き起こる。

 後方から近づく気配を感じて振り返ると、スーツのジャケットを脱いだ千晶さんがリビングに入ってきていた。

 ダイニングテーブルまで近づいた千晶さんは、並べた料理に足を止める。

 途端に緊張に包まれて、窺うように千晶さんの顔をじっと見つめてしまう。


「これ、全部作ったのか」

「え、はい……」

「すごいな、驚いた」


 え……それって、いい意味で言ってくれてるの……?


 千晶さんは用意した席につき、改めて一品ずつ料理を眺めていく。

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