不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
食事を終えると、千晶さんにお茶を淹れてほしいと頼まれた。
用意をしていると、リビングから出ていっていた千晶さんが紙袋を手に戻ってくる。
それは、水彩画で鶯と梅の木が描かれた『みかど堂』の紙袋だった。
「来月出る新商品を持って帰ってきた。試食してみないか?」
「新商品、ですか?」
「和菓子は普段食べないか」
「いえ、食べます。みかど堂の和菓子は、私の知るかぎりは全制覇してます!」
自社の商品というのもあるけれど、私は『みかど堂』の和菓子が好きだ。
目で楽しめる美しい姿と、上品な中にも特別感のある味、口当たり。
こだわりの原材料を使い、一流の職人が手掛ける和菓子はどれも絶品で『みかど堂』のファンは多い。
「来月発売する七夕をテーマにした期間限定の水菓子だ」
「あ、それ、資料で拝見しました。えー、どんなお菓子だろ、楽しみ! 今、お茶と一緒に出しますね」
紙袋を受け取り、そそくさとキッチンへと入る。
紙袋の中には、涼し気な水色の和紙で作られた長方形の箱が入っていた。
取り出し、上部の箱を開けてみると、中には青色にグラデーションした水菓子が入っていた。