不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


「わぁ……綺麗……」


 夜空のような深い青色の中、まるで天の川が流れているように見える水菓子。

 取り出して、上から、側面から、まじまじと観察してしまう。

 金箔や星型の寒天のようなものが浮かび、キラキラしていてすごく綺麗だ。

 切り分けるのも勿体ない美しさだと思いながら、慎重に包丁を入れる。

 和菓子用の美濃焼きの平皿に切った水菓子を載せ、緑茶と一緒にダイニングテーブルへと運んでいく。


「お待たせしました」


 お茶と切り分けてきた水菓子を出すと、千晶さんは「ありがとう」と椅子を引き出す。


「すごく綺麗な水菓子で、切るのが勿体なかったです」

「そうか。それは、目でも楽しめるということだな」

「はい。あと、SNS映えも絶対しますよね。『みかど堂の七夕限定和菓子が美しい!』とかって話題になりそうです」


 そんな話をしながら席へとつき、改めて切ってきた水菓子に視線を落とす。

 千晶さんが「食べてみて」と声をかけてきて、早速「いただきます」と菓子切りを手に取った。

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