不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


 透き通る青色に菓子切りを入れると、滑らかにすうーっと切り込みが入っていく。

 口の中に入れれば上品な甘さがしっとりと広がり、思わず頬が緩んでしまった。


「美味しい……これ、あんも入っていますよね?」

「下底部に白あんが入っている」

「白あん……だからこの綺麗な青が出せているんですね!」


 綺麗で食べるのが勿体ないと思っていたはずが、あっという間にお皿の上からお菓子はなくなる。

 それを見てなのか、千晶さんがまだ手を付けていない自分の菓子皿を私へと差し出した。


「えっ」

「好きなら食べるといい」

「いいんですか……? ありがとうございます!」


 思わず「わーい」と取り繕わず喜びを露わにしてしまうと、千晶さんは湯呑を手にしながらフッと笑みをこぼす。

 子どもっぽかったと急に恥ずかしくなって、顔が熱くなった。


「来月、新事業の記念パーティーがある。婚約者として、つぐみに同行してほしい」

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