不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「私が、ですか……?」
突然切り出された話につい訊き返してしまう。
新事業の記念パーティーに、私が一緒に……?
「ああ。ただ同行してもらうだけで構わない」
「あ、はい。でも私、そういう場に行ったことがないので……」
そう言うと、千晶さんは私の言いたかったことを察したように「心配いらない」と言う。
「出席するための装いや、必要な手配はする」
「そう、ですか……わかりました」
「近くなったら、また詳細は知らせる」
椅子を立ち上がりながら話を締めくくった千晶さんは、「先にシャワーを使う」とリビングを出ていった。
「パーティー……か」
ひとりきりになったダイニングに、独り言がぽつりと落ちる。
新店舗のオープン記念パーティーに、千晶さんの婚約者として出席する……。
そんな大仕事が私に務まるのだろうかと漠然と考えてしまう。
同時に、まだふわっとしていた許婚という関係が、いよいよ本物なのだと思い知らされたようだった。