不本意ながら、極上社長に娶られることになりました


「似合っているな」

「へっ……?」


 千晶さんの視線が着ているルームウェアに注がれていて、また「あっ」と声が出る。

 一緒に買い物に出かけた時に千晶さんに買ってもらい、こうして着て披露するのは今日が初めてのことだ。


「服……! そうなんです、早速、愛用させてもらってます。ありがとうございます」


 まじまじと見られてしまうと、必要以上に緊張を強いられる。


「可愛いな」


 思わぬ言葉を掛けられてどきんと鼓動が高鳴った。


「もう寝るところか」

「え……あっ、はい!」


 返事を聞いた千晶さんは、そっと私の背に手を添える。

 そして誘導するようにリビングを連れ出した。


 可愛いって、服のことだから! 着てる服のこと!
 私が言われたわけじゃないんだから、こんな動揺してどうするの!


 寝室のドアを開けた千晶さんは、黙って私をベッドへと連れていく。

 そこでやっとひとりの世界から連れ戻され、さっきまで悩み心配していたことに直面した。

 ベッドに私を腰かけさせた千晶さんは、開いたままのカーテンを閉め、ベッドそばの背の高い間接照明を灯す。

 掛け布団を持ち上げられ、促されるまま両脚をベッドに載せていた。

 寝かしつけられる子どものようにベッドに入った私に布団をかけ、千晶さんは足元から反対側へと回ってくる。

 そのまま何も言うことなく私のとなりに入ってくると、となりの枕に頭を沈めた。


……ん?

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