不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「――ん……?」
目を開けると、視界には明るい世界が広がる。
朝……?
ぼんやりとする意識のまま寝返りをうつと、広いベッドには自分ひとりだけが寝ていた。
千晶さんは……?
むくっと上体を起こすと、やはり部屋の中に千晶さんの姿はない。
昨晩、彼が閉めたはずのカーテンは開かれ、薄いレースのカーテンだけが朝日を遮っていた。
もう起きたってこと?
ていうか、今って何時……?
慌ててベッドを出かけて、ルームウェアのポケットに入れっぱなしになっていたスマホの存在に気付く。
昨夜は緊張のあまり、ポケットからスマホも出さずにベッドに入ってしまったのだ。
自分の体温ですっかり温まったスマホを取り出し、時刻を確認する。
まだ六時を回ったばかりで、とんでもない寝坊をしたわけではないことにホッと胸をなでおろした。
同時に、画面に千晶さんからのメッセージが入っていることに気付く。
メッセージアプリを開くと、【少し走ってくる】というメッセージが入っていた。
「走る……?」
どうやら、ランニングにでも出ているらしい。
こんな早朝から走るなんて、さすが意識が高い。
ぼーっとしてられない! 今のうちに起きて、支度始めちゃお。
千晶さんが帰宅するまでに朝食の用意をしようと、急いでベッドをあとにした。