不本意ながら、極上社長に娶られることになりました
「お仕事、お疲れ様です」
「ああ、つぐみもお疲れ様」
「え、私ですか?」
「家のこと。家事、こなしてきたんだろ?」
「あ……はい」
結局、洗濯をして掃除機をかけて、あっという間に千晶さんから連絡がきた時間になっていた。
ぼんやりしていたあの時間がなければ、食材の買い出しに行く時間は取れたはずなのに……。
そんな後悔をすると同時、その元凶を思い出す。
もう水に流してしまおうと思ったのに、千晶さんを目の前にして今朝のことをまた思い出してしまった。
「スイーツは好きなのか」
「へっ」
いけない、余計なこと考えないの、私!
タブレット端末や出していた書類をカバンへと仕舞いながら、千晶さんはちらりと私に目を向ける。
「はい、スイーツ好きです!」
不自然な声のトーンで、しかもこの場に似つかわしくない声のボリュームで返事をしてしまい、思わず口元を押さえる。
そんな私を千晶さんはフッと笑い、寄り添うようにして肩に手を回した。