自由に羽ばたくキミが
「今日帰ったの?」


「そう、空港に迎えに来てもらった帰り」


「さっきちょっと事務所ざわついてたけど、咲名?」


「時差ボケでヘトヘトな私がそんな罰ゲーム、受けると思う?」


「だよなぁ、しかもクソダサい女見かけたって言ってたから違うか」


「ぶっ」


紛れもなく咲名だろう。


「こんな美人がクソダサいで済まされる訳ない、相変わらずナチュラルだけど」


翼のお酒のついでに食事兼つまみも頼んで。


お土産タイム、と改めて乾杯したあとに丸ごとリュックに仕舞われていたエコバッグのような手提げカバンから広げた。


「これは親父に、重いし量に規定あるから小さいけど」


「ほぅ、ウイスキーか」


イギリス定番のやつ、めちゃくちゃ嬉しい。


「照にぃはこれ、ポロシャツ」


チェックがシンボルのあの有名ブランド、爽やかな色にえりの部分がチェックでお洒落、めちゃくちゃ嬉しい。


「翼はこれ、このエコバッグ」


嬉しくない。


「おい!この差はなんだ!」


「なんちゃって、ほらこれ」


中からは小さな小包、アクセサリーの類いを入れるもの。


土星がモチーフの、これもイギリス発祥ブランド。


うぉー!ヴィヴィアン!とテンションは爆上げ、めちゃくちゃ嬉しい。


「ライター、オイルは入れてね」


加熱式に変わってたらどうしようとか思ったけど。
しっかりと口元にはタバコ、乾杯してすぐに火をつけてた。


「俺一生タバコ辞めない」


一番有名なチェーンのついた土星型のライターじゃなくて、細身でシンプルなやつ。


咲名が使ってるのを見て羨ましがってたのを覚えてた。
咲名はイギリスの友達の誰かの忘れ物を拝借してただけなのに。


使い古せばヴィンテージ感が出てより一層かっこいい。


「お菓子も食べたい?荷物のついでに送ってもらおうかと」


多少は持ってきたと、その場でいくらか出す。


「食べたいけど、お前が焼いてくれよ」


「あー…スコーンね」


それなら確かに、そのうちねって。
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