自由に羽ばたくキミが
クスクス笑いながらその場を去った三人。


「あんたらはあんたらでおかしいっちゅーねん」


「着せるのが仕事なのに、自分もあんなヒラヒラさせて」


「俺この前あのピンヒールに踏まれたけどちょっと殺意芽生えたもん」


竜太が小声で言えば、瑞希と晴人が同意するように混ざる。


「はは」


一人で笑い出した晃に、少しだけ驚いたメンバー。


視線は咲名に向けられている、晃が声を出して笑うなんて余程の事だとつられて笑うけど。


「化けの皮が剥がれるのも時間の問題だろーよ」


「化けの皮?」


「変装なの?あれ」


なんで、逆に目立つ、なんて疑問が溢れる。


「いや…知らねーけど、見かけによらねーよ」


何か知ったような口ぶりの晃に1番興味を示したのは晴人、昨日咲名に見せた好奇心は薄れてなかったようで。


「え、なんか知ってんの?やっぱ素性隠してんのかなー」


「いや隠してるとかじゃなくて…知らねーけど、照さんの言う通り多分スーツのせいだし、わざとではないと思うけど」


「言ってるより照さんと仲はいいはずなんだよね、翼の妹の友達って言ってたけど親戚の友達とあんな距離で過ごすかな」


「はっ…!照さんの女とか!?」


ひたすら食事に集中してた聡が突然参加したと思えば。


「自分の女のスーツあんな失敗するかよ」


それだ!と乗ったメンバーも、竜太の一言でそうか、と納得。


仲の良さが伺えるやり取り、謎の新人で盛り上がる束の間の休憩も。


スタッフから軽く説明を受ければ食事を進めながらメンバーで内容を詰める。


広めの部屋に長机を何個か置かれただけのここ、今日はメインではないので楽屋は先輩、LIBERAはリハ室。


本番までもう少し、2本録りの今日は先輩のリリース曲のバックに付いたあとは、トークコーナーのフリップやボードのアシスタントやゲームコーナーの対戦相手もさせられて。


一旦姿を消した照樹と咲名に気付きもせずに、仕事に集中。


1時間番組の収録は夜まで続くから、瑞希に合わせて出番を早めに詰められたLIBERA、いい仕事をしたため巻きで終える。
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