自由に羽ばたくキミが
「確かになぁ、お前はこっちも生きづらい世界かもしんねーけど、普通にはなりたがるのにこっちに適応しようとはした事ねーだろ?」


『そんな事は…』


「どちらかと言えば半端が許されないのはこちら側だ、そしてお前は投げ出してばかりだ」


『っはー、それは認める!』


「だからお前、一回こっち来いよって。ちなみに表舞台に出るつもりでなんて言わない、知るだけでもいいから…もしかしたら、こっちでは無限にお前の可能性も。


夢だって叶うかもしれない」


『怖い、怖過ぎる。ねぇなんでそんなに占い師みたいな事平気で言うの?昔っからぬるま湯に浸からせるみたいに私の事ダルダルにさせてさぁ』


え、あ、そう?俺は厳しくいこうと思ってたのに?


甘えさせて…いや甘やかしてたってか?


「くくッ…はは!はいもう決まりー、一応話の続きも聞くけど?」


『おーおー私の人生の分岐点を一応ってか?分かるでしょ?目指してたものの何倍もの規模のステージに簡単に立ったギャラで、その第一歩を一緒になんて歩けないってよ!』


何百分の一を今さら歩めるのかって、呆れられたって。


少しは吹っ切れてんのかな、わりと平然と言ってのける。


「何をするかじゃなくて、誰とするか、お前は昔からそう」


『そう、なのに皆の気持ちを理解してなかった、いずれこうなってたと思えば早い段階で気付けて良かったと…思おうとしてる』


「言っとくけど、そんな綺麗ごと言って掴めるもんなんてこの世界にはねーよ、お前は逆にそいつらにそれを教えてやれ。


どんなチャンスも泥臭く掴む気持ちがなきゃ、お前は恵まれてると妬まれることが多くてウンザリしてるかもしれねーけど」


『じゃあこれもチャンスの一つかな…


ビザが切れるから、どうしようかなってちょうど思ってた頃なんだ』


なんと。


「最高、ビザを言い訳に帰って来ればいい。鼻水垂らして喜ぶぜ、お前の《家族》はな」
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