春の闇に連れ去らレ
少し驚いたような顔をして、緤はこちらを見た。
「18」
「え」
「んだよ、文句あんのか」
年下だなと思っただけです。
敬語を遣ったのが馬鹿馬鹿しく思えてきたけれど、今更変えることも出来なくて「いえ……」と曖昧に笑った。頬が痛い。
「あたしのこと、返品しますか?」
「だったらなんだよ」
昨夜と同じ言葉。
「あたしはもう、行く場所がないので」
最期に甘えても良いと思った。
「あなたがきちんと捨ててください」
緤は何も言わず、それから玄関の方を見た。超能力か。扉の開く音がする。