春の闇に連れ去らレ

今日は荷物持ちらしい。

「あたしも一緒に行って良いんですか」
「いきなり通夜に呼び出されるなんて悪い予感しかしねえからな」
「……なるほど?」
「暇つぶしに」

玩具で遊ぼうということらしい。
全然意味は分からない。

部屋を出てエレベーターに乗る。地上に着くと、黒塗りの車があった。

後部座席にシュウ。運転席には麻が乗っている。
麻がニヤつきながらこちらを見上げていた。

「息災ですかあ、ナイフちゃん」
「……気持ち悪い」
「お前、絲にめちゃくちゃ嫌われてんなあ」

後ろで緤の笑う声。あたしは助手席に乗り込んだ。

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