春の闇に連れ去らレ

車は動き出し、一般道に入る。隣の麻の服装を見るといつもの私服。
黒いMA‐1を着ている。

「ナイフちゃん喪服似合いすぎじゃね?」
「そういえば何でお前、絲のことナイフって呼んでんの」
「え、知らないんすか?」
「初日にナイフ持ってたからか?」
「いや、組長に口ん中ナイフ突っ込まれたのを噛んで止めたからだ」

静かだったシュウが最後説明を加える。その解説いらないんですけど。
あたしは再度後ろでケラケラ笑う緤の声を聴きながらげんなりする。

緤の部屋に来たあの日、あたしを送ったのはこの二人だった。

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