春の闇に連れ去らレ
言われて、シュウの後をついていく。震える手で緤と自分の名前を書く。
香典を渡して振り向くと、緤は誰かと話していた。
参列者の殆どが年配の男性で、女性は少ししか見られない。その中でたぶん一番若いあたしと、緤は異端だ。
緤は何かを少し話して頭を下げた。無表情で。
「緤さん」
その会話を遮るように、黒い服の男たちに言われた。
シュウとはそこで別れる。あたしは緤の後ろをついていく。
連れて行かれたのは六畳ほどの和室。
「ここでお待ちください」
ぱたん、と襖が閉められた。その襖が一生開かない気がして、思わず引手に触れる。