春の闇に連れ去らレ
容易に開いて、その向こうには先ほど歩いた廊下があった。
「何やってんだ」
後ろで緤は座り、呆れた顔であたしを見る。
「異次元に、繋がってるかと」
「繋がってたか」
「廊下が」
だろうな、と緤は隣を叩いた。あたしはそこまで歩き、正座する。
胡座をかいたまま緤が倒れ込んでくる。その頭がちょうど膝に収まった。
向こう側を向いていて表情は見えないが、目を瞑っている気がする。
畳の感触に、ふと実家を思い出す。自分の部屋もこれくらいの大きさだった。
ここは控室なのか物置なのか、片付いてはいるが、もてなすような場所ではない。