春の闇に連れ去らレ

もしかしたら緤は葬儀に出る度、こういう場所に押し込められていたのかもしれない。

だから荷物持ちと、暇潰し、なのか。

「亡くなった方、お知り合いですか?」

尋ねてみる。

「小さい頃、何度か会った気がする」

答えた。

「それにしてはVIP待遇ですね」
「いつものことだろ、俺がVIPなのは」

今頃、シュウは色んな人間に挨拶をしているのだろう。もしかしたら父親も来ているのかもしれない。
同じく子供の緤はここに閉じ込められている。

昔から、緤と父親の顔をなるべく合わせないように周りが配慮しているらしい。

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