春の闇に連れ去らレ
読みたくもない展開が読めて、もう少し早めに死んどけば良かったと後悔する。
どの路、この先は真っ暗で、死んだ方がマシだったと思うだろう。
「サラシナの奴、娘が居たんか。いくつや」
ソファーにゆっくりと座りながら喋る男。
今まで出会ったどの人間よりも綺麗な顔をしていた。
「20です」
後ろで、先程頭と呼ばれた男の声がした。ちらと視線を向けると、あたしの鞄から学生証を出している。
「父親は俺の後輩でなあ、随分可愛がってやった」
く、く、と笑って、男は腕を組む。
どうでもいい話だ。