春の闇に連れ去らレ
あたしはリビングの窓の傍を陣取り、やっぱり熱を出していた。
最初の三日間はずっと夢現の中で過ごして、悪夢を見たり、時折映るテレビを見たり。
麻と二人きりになるのを避けたいと思っていたけれど、流石にシュウの家で何かしてくることはないらしい。少しでも人間の心を持っていて助かった。
「お前、なんであの時言い返したんだ?」
テレビで映画を見ていたシュウが、煙草を吸いながら尋ねてくる。あたしはコンビニ弁当を端からもぐもぐと食べていた。
「何か言いましたっけ」
「親父に、ゴキブリがどうとか」
「ああ、その時」