春の闇に連れ去らレ
麻が横でピコピコと携帯でゲームをしている。
たまにこの人たちが人間から金を毟り取ったり殴ったりしているのが嘘のように感じることもある。
でもまあ、真実なわけで。
「……なんとなく?」
「は?」
「並な返事をしてたら、多分バラされるか風俗に沈められると思ったので」
あの男はそういう、少し狂った部分がある。
その狂った部分に、あたしは生かされている。
「わー! 負けた!」
「うっせえ」
急に叫んだ麻が叩かれた。
いや、この世界が既に狂っているのか。
「まあ、あたしがゴキブリなのは違いないので」