春の闇に連れ去らレ
テーブルに左手をついて立ち上がると、二の腕を掴まれる。
「どこ行くんだよ」
「着替えようかと」
「自分の服に着替えろ。帰るぞ」
麻があたしの服を持ってきてくれた。
「……着にくいから、麻の服貸してほしい」
「もうそれやるよ。今度新しいの買って」
「ちょっとそんなお金はないから、クリーニング出して返すよ……」
うい、と麻の返事。
「なんかお前ら仲良くなってね?」「ええ、そうっすかね」と声が聞こえる。
着替えてリビングへ行くと、シュウがちょうど帰ってきた。
「帰るのか」
「持って帰る」
緤が答えた。