春の闇に連れ去らレ
あたしの洋服を持ち、立ち上がっている。
ここに来たのはあたしを持ち帰るためだったらしい。
「あの、まだ腕が治ってないんです」
「見りゃわかる」
「緤さんの家に行っても、何も、できないので……」
半分嘘、半分本当。
何もできないのは本当だが、あたしは自分のことも満足にできない。つまり、他人の手が欲しい。
正直、緤があたしのお弁当を買ってきてくれるとは思えない。
ここに居たら、シュウが目をかけてくれる。それに甘えることができる。金は発生するらしいが。
死んだも同然だが、何にどう気遣っているのだろう。