春の闇に連れ去らレ
シュウは多分、その血や職に一番合わず、優しい。性根が、なのか、上っ面が、なのかは知らないが。
自分を連れていき、あの男の八つ当たりを受けるのは予想できて、その通りとなった。あたしもそうなるだろうなとは思っていた。だから、別に気に病むことはないのだ。
誰しもが、大概、狡いのだから。
「はい、当てにしてます」
あの男の駒で居ることで緤が生きられているのだとしたら、あの男のイヌでいることでシュウは生きながらえているのだろう。
「絲、遅え」
「すみません」
玄関を出た。マンションの外に緤を送迎する車があった。