春の闇に連れ去らレ
20歳を祝ってくれるような。
まあそれなら良いのか、と何が良いのかあたしも分からないまま、髪の毛を絞る。
「友達って必要?」
「え」
「お前、二年長く生きてんだろ。どうなんだよ」
急に哲学的なことを聞いてくる。
小学生みたいな質問だ。哲学というか、道徳。
「いないよりは、いる方が良いと思いますよ。尤もあたしにはいませんが」
「説得力ねえ」
「いたら、きっと人生が変わっていたと思います」
借金のこと。
父親の自殺のこと。
友人の顔が真っ先に浮かんだら、きっとあたしはここにいない。