春の闇に連れ去らレ

横で揚げ物をオーブンに入れた。

「生きてるよーこわいよー」
「何言ってるの……?」

普段平気で人を殴っている人間とは思えない。そう言いながらも麻はきちんと砂抜きをし始めるので、少し関心する。

「ぎゃ、水かかった!」

しかも酒に入った! と騒ぐ麻に笑う。

「お前」

いつの間にかカウンターの向こうにいた緤がこちらを見ていた。

「すみません、煩くして」
「飲まねえのか」
「こっち終わったら、少し頂きます」
「麻」

視線が麻へと移る。「はい?」と麻が顔を上げた。

「自分で作れ」
「ええー」

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