私、可愛がられてるんですか!?
それ、目撃して大丈夫ですか!?
「あー!携帯教室に忘れてきちゃった、取りに戻ってくるから望、先に帰ってて!」

「由奈も気をつけるんだよ!!」
と幼馴染みの望は私に向かって手を振りながら叫んだ。


私が向かう先は夕暮れの中、堂々と建つ学び舎。


また教室に戻ると考えるだけでだるいな…
何て言ったって教室が4階にあるから。
だけど携帯の為にと私は体育で疲れたこの重たい足を前進させた。


「はぁ…はぁ…やっと4階に着いたよ〜。」
意外と段数があって毎日が筋トレみたいなこの階段を1日で2往復以上してるんだから息切れよ、
まぁ…自分が忘れるのがいけないんだけどね。



「あっ…さ…くんっ、むりっ///」

知らない女性の甲高い声が4階の廊下に響き渡る。




「ん?これ、え?」

これはやばいんじゃないの、聞いちゃいけないやつよね。
で、で、でも誰もいないこの静まりきった廊下だと聞こえちゃいますよ!!

どうしよう教室に行けないと踊り場で焦ってたとき、目の前に頬が赤く「はぁはぁ」と息を吐きながら1人私と同じ制服を着た女性が私など目にも留まらずそのまま無我夢中で階段へ向かい走っていった。

「まさか…。」
私はさっき聴こえた声の人ではないかと思った。
って、そんなことよりここに来た目的…



そうだ!携帯を取りに行かなきゃ!

門が閉まっちゃう!


目的を思い出した私は自分のクラスである2年4組へ急いで走った。


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