オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~

「まだ足も痛むだろう? 無理しなくていい。帰りになにかテイクアウトでもしてくるから」


一慶は微笑みながら美紅の頭をポンと撫で、「じゃ」とマンションを後にした。

美紅は力が抜けたようにストンとソファに腰を下ろす。

昨夜は、同僚をはじめとしたみんなに多大なる迷惑をかけてしまった。
勝手知ったる場所だと甘く見ていたのか、まさかこの歳になってあそこで道に迷うとは考えもしていない。浅はかな自分にほとほとあきれる。

一慶におぶわれて別荘に戻り、手際よく手当てしてもらった左足も今はだいぶいい。念のため帰りに病院へ寄ったが、全治一週間程度の軽い捻挫だった。


「はぁ……もう、ほんとにどうしよう」


ソファにゴロンと横になりクッションを抱える。
まさか一慶が自分を好きでいてくれていたなんて、誰が思うだろうか。
お互いに勘違いしたまま十何年もいたとは笑い話にもならない。

二度のキスも、一慶の想いが込められていたのだ。『俺にしておけ』と言った意味が今頃になってわかった。

でも、長い片想いの末に成就したため、どう接したらいいのか。そもそも恋愛経験は皆無だ。
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