オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
「い、いつもそうですけど?」
そう言い返すので精いっぱいだ。
一慶はよれよれに巻いてある包帯をまき直しはじめた。
すぐ目の前にある彼の俯いた顔に見入る。まだ濡れた髪が額にかかり、やけに色っぽい。ほかに目線を外したいのに吸い寄せられて離せず、胸の鼓動が徐々に高鳴っていく。
「これでよし」
「ありがとう」
美しく巻かれた包帯から顔を上げた一慶と意図せず目が合う。すぐに逸らしたが、その不自然さは自分でも痛いほど感じた。
「美紅」
優しく名前を呼ばれ、声ではなく心臓がトクンと返事をする。
隣に座った一慶が美紅の肩を抱き寄せた。カチンコチンに強張った体はまるで石のよう。背筋は定規をあてたようにピンと伸びた。
そんな美紅の状態に一慶がクスッと笑みをこぼす。
「もっとリラックスして」
「む、無理だよ」