オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
髪を撫でる指先からも想いが伝わり愛しさが込み上げる。ためらいがちに入ってきた舌に口内をくすぐられ、つい吐息が漏れた。
これまで重ならなかった時間を埋めていくキスにお互い夢中になっていたが、一慶は不意に美紅を抱き上げた。
もしかして――。
「いっくん……!」
「今さらダメって言うなよ?」
一慶がいたずらっぽい目で軽く睨む。
「で、でも足が!」
「足? 心配するな。足は使わない」
「待って! 私、その……こういうのははじめてなの……!」
一慶は自分の部屋の一歩手前で足を止めた。
「キスだって、いっくんがはじめてだったんだから」
勢いでファーストキスだったことまで白状してしまった。二十七歳にもなってキスもまだだったのかと呆れられただろう。モテるんだから!と見栄を張った過去を消してしまいたい。