オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
美紅は棚に隠れるようにして体を小さくさせた。
「世界的に活躍するデザイナーが彼氏なんてうらやましいです」
「や、その、えっと……」
まさか紀美加に知られているとは思いもせず、美紅はしどろもどろだ。
「あれ? 違うんですか? そうなんですよね?」
「あ、うん、一応は……」
「やだな、一応ってなんですか」
紀美加がクスクス笑う。
「美紅さんってば話してくれないんですもん。私、めちゃくちゃアプローチしちゃったじゃないですか。空回りもいいところです」
「ごめんね」
「や、謝られると惨めなのでやめてくださいってば。まぁ私じゃ、たとえ一慶さんがフリーでもどうにもなりませんけどね」
紀美加は肩をすくめて自虐的に笑い、「いらっしゃいませ」とお客さんの接客に戻った。