オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~


◇◇◇◇◇

お客様の会計を終えて商品を手渡し、「ありがとうございました」と見送る。

空はすっかり日が落ち、太陽の代わりにネオンが街を照らしている。
琴乃に言われたように、なんとなく体調が悪いかもしれないと感じたのは、閉店まであと僅かというときだった。

もうすぐ仕事も終わるし、あと少しがんばろう。

そう気合を入れなおすが、視界がぼんやり霞んだそばから目の前がチカチカしてくる。わけもなく鼓動が速まり、その場に立っていられなくなった。
足もとがふらつき強烈な目眩を覚える。

あれ? なんかまずいかも……。

遠くで名前を呼ぶ一慶の声が聞こえたような気がした次の瞬間、美紅はそのまま意識を手離した。

< 134 / 154 >

この作品をシェア

pagetop