オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
佐和子はバタバタと忙しなく病室を出ていった。ナースコールで呼べばいいのにと美紅が冷静に考えていると、一慶が険しい表情で美紅を見る。
「無理するなって言っただろ」
「……はい」
「しっかり寝ろとも言ったよな?」
「……ごめんなさい」
謝る以外に言葉を見つけられない。
一慶が怒るのも当然。悪いのは全面的に美紅だ。なにしろ、寝ると見せかけてこっそり起きて制作していたのだから。それで倒れるのだから自業自得だ。
「俺がどれだけ心配したと思ってるんだ」
「本当にごめんなさい」
美紅がしょんぼりして謝ると、一慶はそこでようやく硬い表情を解いた。
「まぁいい機会だ。佐和子に話したらいい」
「……え?」
「話さないつもりか。話すよな?」
脅迫めいた口調と眼差しにはうなずく以外にない。美紅は寝ながらコクコクと顎を動かした。
その後やって来た看護師と医師が美紅の状態を確認し、栄養剤の点滴を終えたら帰っていいとのお許しが出た。過労のため、今夜はしっかり睡眠をとるようにと釘も刺された。