オオカミ社長と蜜夜同居~獣な彼の激しい愛には逆らえない~
別れを意識して揺れる心
息を詰め、慎重にインカローズを台座に固定する。デザイン画をもとにして決めた角度が少しでもぶれると印象が変わるため、集中力を必要とする作業だ。
ぴたりとはまったのを確認し、あらゆる角度からチェックしてはじめて、美紅はホッと息をついた。
「美紅さん、到着した天然石は種類ごとにわけて収納しましたので」
「ありがとう、琴乃ちゃん」
あれから半年が経ち、佐和子の勧めでアクセサリー作りに専念したおかげで売上は右肩上がり。趣味の域を完全に越え、すっかりアクセサリーデザイナーが板についてきつつある。
自分ひとりでは間に合わなくなったため、琴乃が週に二日ほど手伝いにきてくれるようになっていた。
おかげで商品のバリエーションも増え、ネットでの販売も好評。クリエーニュでも次回作の入荷はいつかと問い合わせが多数入ると佐和子から聞いている。
購入者がSNSで拡散したため、買い求めようとしたお客がサイトに殺到し、サーバーがダウンする事態に陥ったこともあった。
「そういえば例の記事、美紅さんすごくかわいく写ってましたね」